「代えがきかない社員」は「書く力」=「考える力」が高い
齋藤孝 著『原稿用紙10枚を書く力』
(大和書房、2023年)

SNSやインターネット、AIが爆発的に進化する現代社会で「書く力」がなぜ必要になるのか。この点について本書を読みながらもう少し掘り下げてみたいと思います。今回は「書く力」=「考える力」についてです。
本書を読んで最も共感したのは、これからは企業で働く人の二極分化が起きるという指摘です(84ページ)。正社員と非正規社員という二極分化は雇用のあり方としてとても問題のある仕組みではありますが、しかし、現実にはこの方向に動いてきてしまっています。
そして正社員として会社の中核を担うのは、プロジェクトをつくって遂行していく能力のある人です。それ以外の「代わりのきく職種」は非正規の社員でという流れが起こっています。
そして、プロジェクトをつくるには質の高い企画書を書く必要があります。齋藤さんは、質の高い企画書を書くためには「テーマをしっかりと考え抜く力が必要となる」と述べています(85ページ)。これは企画を「練る」ということでもあって、頭の中でいろいろな状況を設定して、人が疑問を持つようなところをクリアにしたうえで、シンプルに分かりやすい案にまとめ上げることです。
つまり、企業で働く場合には特に企画書を書く力、そして考える力が必要になるということが本書では力説されていました。職場にAIが導入されるよりも先に、非正規雇用の拡大が「書く力」=「考える力」を必要とする状況を創り出しているのだなと思いました。

