(人前で話す人はご注目!)セミナー講師が教える「話し方」
立石剛 著『セミナー講師の教科書』
(かんき出版、2016年)
話し方の苦手意識を克服し、改善するために本書を読んでみました。今まで何回か講演・セミナーに参加したことがありましたが、講師の方は、たいへん熱心に、そして流暢に話しておられました。そのコツが学べるといいと思い、読み進めました。
本書は、話し方のほかにもテーマの見つけ方やセミナーの開催・運営のしかたなども解説されており、内容が盛りだくさんでした。そのなかで、話し方をテーマとした本書の第4章について今回はレビューしていきたいと思います。
本書の著者、立石剛さんはセミナー講師の育成を行う株式会社ブランドファクトリーの代表取締役をされています。
立石さんは、セミナー講師にはアナウンサーのような流暢な話し方は必要ありませんと述べています(126ページ)。私にとって、これは意外でした。私が今まで参加した講演やセミナーでは講師の方はとても流暢に話している印象がありましたので。
ただ、重要なこととして「わかりやすく話す」「おもしろく話す」「相手の心が動くように話す」の3つをあげています。とてもハードルが高いように思いましたが、「かんたんな訓練」をすることで誰でもできるようになる、というのが立石さんの考えです(127ページ)。
本書の第4章では、そのためのコツが解説されていました。それを私なりにピックアップすると次の4つが重要だと思いました。
1.「わかりやすく話す」コツ3選
①一文を短く話す、②予告を入れて話す、③順序立てて話す(PREP法)
①②③のどれについても、今までほとんど意識していなかったポイントなどで、本当に反省しています。
まず、①について。今後は「分かりやすい話」=「短く区切られている話」と意識して話したいと思いました。
また、②の「予告」とは「まず自己紹介させていただきます」「では本題に入ります」というような、以後の話の「見出し」のようなものだと思いました。
③の「PREP法」とは、P(Point:結論)、R(Reason:理由)、E(Example:例)、最後にもう一度P(Point:結論)という型で話すと、自ずと話が順序立てられて、話があちらこちらに飛ぶのを防ぐことができるという方法です。ビジネスの世界では有名な話し方のようです。
Rの理由を抽象的にして、Eの例を詳しく具体的にするというワザも紹介されていて(133ページ)勉強になりました。
2.「おもしろく話す」コツ5選
①体験談、②引用、③たとえ話、④数字、⑤現物
どれも言われてみれば、「なるほど」と思うものばかりでしたが、普段はあまり意識していませんでした。②の引用は権威ある人の言葉を引用するとよいとのことです。また、④の数字の例として、リポビタンDのCMの「タウリン1000ミリグラム配合」とは実際は「タウリン1グラム配合」と同じですが、1000ミリグラムと言われると多いと感じるので、世の中いろいろなところで使われているのだと腑に落ちました。
3. 「相手の心が動くように話す」コツ2選
①体験を物語にする、②EP法
①は聞き手の側の感情移入を誘うテクニックとして紹介されていました。物語(ストーリー)の効果というのも、今後もっと勉強したいと思いました。
②の「EP法」とはEpisode(体験談)、Point(結論)の頭文字です。「この経験を通じて、気づいたことがあるんです」という「つなぎの言葉」を入れるとよいと立川さんは指摘しています。これは本当に重要だと思いました。
4. 話すときの緊張を軽減する道具3選
①演台、②スライド、③マイク
話すときの緊張対策が書かれていて、とても参考になりました。①と②は聴衆からの視線対策ということです。視線はプレッシャーを与えますが、演台で体の一部でも隠れることは安心につながるそうです。
また、スライドを使うと視線がスライドに向かうという効果があることを知って、今後はますますスライド作りに力を入れたいと思いました。
そして、③のマイクですが、マイクをもつことによって、体のどこかが固定されるのが安心につながると述べられていました。これも今まで知らなかったので勉強になりました。
本書の第4章は話すスキルの重要ポイントがとてもたくさん書かれていると思いました。最初から全部は不可能ですが、できることから1つ1つやっていくと話し方は改善されていくと思いました。