(鎌倉殿の13人)頼朝による粛清に翻弄される義時と広常
三谷幸喜・作『鎌倉殿の13人』(第15話)
(NHK大河ドラマ、2022年)

『鎌倉殿の13人』を私はリアルタイムで視聴していなかったのですが、このたびDVDで観る機会をもつことができました。脚本家の三谷幸喜さんのおかげで、今まであまり興味のなかった鎌倉時代の人々の生活や人間模様を知ることができてうれしいです。今回は第15話「足固めの儀式」を観た感想をリポートします。
今回は出演者のプロモーションとしては「神回」という評判でした。これはDVDに収録されていた土曜スタジオパークの番宣で小栗旬や山本耕史が述べていたことです。彼らは放送前だったので「匂わせ」ていたのですが、佐藤浩市演じる上総広常が頼朝(大泉洋)によって殺されるという大きな展開がありました。
頼朝が石橋山の合戦で大敗して山中をさまよいながら、なんとか海路、房総半島に逃げ延びて、勢力を立て直すことができたのは上総広常の2万の軍勢を味方に引き入れることに成功したことが大きな要因でした。
その上総を頼朝が討ち取ったのは本当に驚きの展開でした。京に出兵したい頼朝に抵抗した御家人たちによって鎌倉は2つに割れていたのですが、反頼朝方の総大将として上総は担ぎ上げられました。上総広常には北条義時(小栗旬)を通じて「反頼朝方に誘われたら、それに乗るふりをしてほしい」という方針が伝えられていました。義時にそれを指示したのは今や頼朝の側近となった文官の大江広元(栗原英雄)。
反頼朝方の「謀反」が鎮圧された後の裁きで、全員「お咎めなし」となる流れだったのですが、大江が「見せしめとして一人を打ち首にする」必要を提案し、頼朝はこれを了承します。そして、その一人は総大将に担がれた上総広常だと頼朝と大江が同意します。
これに義時は猛反対します。義時は知らなかったのですが、謀反鎮圧後に、上総に罪を着せて打ち首にするという案は頼朝から出され、これに大江が同意し、「反頼朝方に誘われたら、それに乗るふりをしてほしい」と義時に伝えさせた、というのが真相だったのです。
今回は頼朝の怖さ、ダークな面が大爆発しました。誰かが権力基盤を確立しようとするときには、こういう組織内部の「粛清」がよく行われるのだな。それが鎌倉時代の直前にもあったのだなと思いました。
次回も楽しみです。