ハウルも、アリエッティも…、ジブリ映画と4つのイギリス児童文学

鈴木敏夫 責任編集『スタジオジブリ物語』
(集英社、2023年)

 500ページを超える、内容盛りだくさんな本書『スタジオジブリ物語』のレビュー第9弾です。今回はジブリ映画の原作はイギリス児童文学が多い件です。

 もし、「ジブリ映画の原作は?」と問われたら何が思い浮かぶでしょうか?
 本書を読んでいて、私はイギリスの文学作品を原作としたものがけっこうあることに気づきました。もちろん、『風の谷のナウシカ』のように、もともと原作がなく、それを理由に映画制作の企画がボツにされたので、鈴木敏夫さんの提案で雑誌『アニメージュ』に宮崎駿監督が原作マンガを描いたという例もありますが。
 イギリスの文学作品を原作としているものをカウントしたところ、以下の4つがあることが分かりました。(292、359、454、493ページ)

①『ハウルの動く城』:イギリスのファンタジー作家ダイアナ・ウィン・ジョーンズが1986年に発表したもの。原作タイトルは『魔法使いハウルと火の悪魔』。

②『借りぐらしのアリエッティ』:イギリスの作家メアリー・ノートンが1952年の作品。原作タイトルは『床下の小人たち』

③『思い出のマーニー』:イギリスの児童文学者ジョーン・ロビンソンが1967年に発表したもの。

④『アーヤと魔女』:イギリスのファンタジー作家ダイアナ・ウィン・ジョーンズが2011年に発表したもの。

 『ハウル』と『アーヤ』は両方ともダイアナ・ウィン・ジョーンズが原作で、ジブリと縁が深かったのだなと思いました。
 宮崎駿さんや鈴木敏夫さんなどスタジオジブリの関係者は、ふだんからイギリスをはじめとする海外の文学に親しみ、目を通していて、映画化できそうなものを探していたのではないかと感じました。

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