(ジブリ)宮崎駿監督は「戦闘機は好き、戦争は嫌い」

鈴木敏夫 責任編集『スタジオジブリ物語』
(集英社、2023年)

 500ページを超える、内容盛りだくさんな本書『スタジオジブリ物語』のレビュー第13弾です。今回は宮崎駿監督の戦闘機好きについてです。
 映画『風立ちぬ』が公開されたのは2013年で、この制作終了をもって宮崎監督は長編アニメ映画の監督を引退することを発表しました。本書『スタジオジブリ物語』の『風立ちぬ』の章を読んで改めて感じたのですが、宮崎監督は戦闘機についてとても詳しい。そして『風立ちぬ』の主人公、堀越二郎は実在した人物で、第二次世界大戦のときに戦闘機、零戦を作っていた人物です。
 ただ、本書に書かれているように宮崎監督は「戦闘機は大好き、戦争は大嫌い」です。その矛盾を反映するように、主人公は戦闘機を作る堀越二郎に加えて、戦前活躍した小説家の堀辰雄をミックスした人物像となっています。映画のタイトル『風立ちぬ』は堀辰雄の小説から採られたものです。
 さて、戦闘機好きの宮崎監督はイタリアの戦闘機Ca・309という軍用偵察機のことが以前から好きだったそうです(408ページ)。この飛行機の愛称がGHIBLI。これはイタリア語では「ギブリ」と発音しますが、宮崎監督は「ジブリ」だと思い込んでいたため「スタジオジブリ」という会社名になったそうです(31ページ)。
 以前から「ジブリ」って何だろう? 何か意味があるのかな?と思っていましたが、本書を読んで謎が解けました。「ジブリ」の意味は「サハラ砂漠に吹く熱風」。これがイタリアの戦闘機の愛称になり、戦闘機好きの宮崎監督が会社名に採用したということが分かり、すっきりしました。

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