(アドラー心理学)証拠を集めれば「ベーシック・ミステイク」を修正できる!
アドラー 著『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』
(ダイヤモンド社、2014年)

本書は、アドラー自身の言葉を心理カウンセラーの小倉広さんが解説したものです。本書はアドラー心理学のエッセンスが凝縮されていると思います。今回はアドラーの言う「ベーシック・ミステイク」についてです。
アドラー心理学の用語に「ベーシック・ミステイク」というものがあります。意味は「基本的な誤り」です。自虐的で間違った思考のことで、これがあると自らの成長が止まってしまう過度な劣等感です。
自分のことを過度に劣った存在だとみなすことは、例えば次のような考えにつながります。
「今回ダメだったから次もダメに違いない」
「クラスのみんなが私を嫌っている」
「友だちが笑っているのは、私をバカにしているに違いない」
こういう行きすぎた思い込みについて、アドラーは「冷静に立証を試みれば消えていく」と述べています。(本書18)
今回はダメだったが、次もダメな確率は100%ではない。クラスのみんなが嫌っていると思い込んでいても、実際に自分を嫌っている人の名前を挙げていけばせいぜい5~6人ぐらいである。友だちが笑ったのは、その話の登場人物の行動が面白かったからかもしれない。
このように冷静に考える際に有効なのは、証拠を集めたり、数字で確かめたりすることです。これが「ベーシック・ミステイク」を克服するコツです。
こういうアドラー心理学の考え方は、自己成長につながるので、やはりアドラーは「自己啓発の父」だなと感じます。
また、「クラスのみんなが私を嫌っている」という思い込みを、実際に自分を嫌っている人の名前を挙げて5~6人と特定していくことは、いじめ対策としても有効な考え方だなと私は思いました。