「種まき」→「収穫」:12年サイクルの仕事観

神田昌典・他 著『仕事の教科書』
(徳間書店、2019年)

 仕事で大きな成果をあげている人たちがどのようなことに気をつけているのか、ということに興味があります。本書『仕事の教科書』には、ビジネスの世界で有名な著者11人が仕事上の秘訣を公開してくれた本です。内容が盛りだくさんなので章ごとにレビューしていきたいと思います。
 今回は、本書に集録されている中から神田昌典さんの「新しい時代の成功法則」です。神田さんは経営コンサルタントをされており、多くのビジネス書の著書があります。神田さんの著書への入門編として勉強になると思います。
 神田さんの「新しい時代の成功法則」という記事から私が特に勉強になったと感じたのは以下の4点です。

1. マーケティングの本質

 仕事をするうえで重要な考え方としてに「マーケティング」があります。「マーケティング」について私はあまり詳しくなく、「市場調査という意味かな」程度にしか知りませんでした。神田さんは、会社員でも公務員でも、職種を問わず「マーケティング」は重要だと述べています(68ページ)。そして「マーケティング」を次のように定義しています。

「あなたの才能を理解し、『価値がある』と評価してくれる人をまわりに集める活動」

このようま「マーケティング」の定義を今まで私は知りませんでした。
 企業における才能とは自社の商品やサービスで、それに共感して価値を見出してくれる人が集まれば、価格競争に巻き込まれることもなく、多くの利益が残ると神田さんは言います。
そ して「価値」とは「格」と同義だという神田さんの指摘(69ページ)が重要だと思いました。例えばMBA(経営学修士)のような資格をもっている人が提供する情報のほうが、MBAをもっていない人が提供する情報よりも「信用に値する」、つまり「格が高い」ために、高い報酬を得られるというわけです。
 そして、「マーケティング」は「見込み客」「成約客」「上得意」という3段からなるピラミッド構造が考えるとよくて、キャッチコピーやコピーライティングの力で「他の人の痛みを和らげる解決策」を言葉にできると収益が見込めるようになると神田さんは述べています(73ページ)。こういう言葉が思いつけるように、もっと勉強していきたいと思いました。

2. 成功は直線的ではなく、曲線的

 神田さんは「人生は一直線では進まず、必ずアップダウンがある」と言います(79ページ)。直線的に物事が進んでいくという想定は現実的ではないのです。挫折や失敗を経験しながら、徐々に高みを目指す意識が大事だと思いました。

3. 人生の12年サイクル――春夏秋冬のように

神田さんは、仕事には「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退」という4つの時期で考えることを推奨しています(82ページ)。12年を3年ごとの4つの時期に分けて、春夏秋冬の四季のように考えると「人生は一直線では進まない」ということの意味を深く考えることができるようになります。

冬:アイデアをさまざまな形で実験する「試行錯誤」の時期
春:試行錯誤して芽が出たものに対して水を与えて育てる時期
夏:最もエネルギーが満ち溢れて収入に結びつく時期
秋:収穫を得つつ、次のサイクルに備える時期


 こういう考え方は西洋や東洋の占い(占星術)にもあるようですが、神田さんは「人生の成長カーブ理論」と呼びます。中長期的な展望をもつことは重要だと思いました。

4. 「学び」に投資し続ける

 神田さんは学びにお金を使うことは「自分のセルフイメージを向上させ、自分の器を大きくする」ためにもっとも有益な手段だと述べています(89ページ)。特に、大量に読書することが重要だと述べておられることに共感しました。

 神田さんは、働き方改革によって残業が減り「自分の時間」が生まれると格差が広がると述べています(90ページ)。「自分の時間」を学びに使う人が成功をつかむだろうということです。とても重要なことを述べておられると思いました。

Follow me!