(鎌倉殿の13人)男児を望む頼朝の気が変わって恩赦取り消し

三谷幸喜・作『鎌倉殿の13人』(第11話)
(NHK大河ドラマ、2022年)

 『鎌倉殿の13人』を私はリアルタイムで視聴していなかったのですが、このたびDVDで観る機会をもつことができました。脚本家の三谷幸喜さんのおかげで、今まであまり興味のなかった鎌倉時代の人々の生活や人間模様を知ることができてうれしいです。今回は第11話「許されざる嘘」を観た感想をリポートします。
 今回は「死」の臭いがしました。これまでの10話と打って変わって「暗転」した回なのではないかと感じました。前回までは「群像劇のような雰囲気」だと思いましたが、今回から登場人物が次々と死んでいくような予兆が見えました。
 そう感じた最大のエピソードは、八重(新垣結衣)の父と兄が暗殺された話です。八重の父と兄は頼朝(大泉洋)と対立し捕らえられ、一時的に三浦家に監禁されていました。それが頼朝の恩赦によって解放された当日に頼朝の指示によって暗殺されたのです。
 この急な方針転換の裏には、頼朝と政子(小池栄子)の間に出来た胎児が跡取り息子として男児であることを願う頼朝の思いと不安がありました。どういうことかというと、頼朝の異母兄弟である全成(新納慎也)の占い(?)、あるいは祈祷(?)による進言によって頼朝の方針がコロッっと変わったのです。
第1回の放送で描かれたのですが、頼朝と八重の間に生まれた男児(千鶴丸)は幼い頃に川に沈められて命を絶たれました。これは八重の父と兄の指示です。それを実行したのが善児(梶原善)という刺客。この刺客は北条義時(小栗旬)の兄・宗時(片岡愛之助)も暗殺しています。
 男児を望む頼朝は「親や功徳を積むと望みが叶う」と信じて、恩赦を与えようよしたのですが、恩赦の当日になって、全成は「千鶴丸が成仏すれば男児として生まれ変わる。そのためには千鶴丸を殺めた八重の父と兄に恩赦を与えるのは不適切。」と頼朝に進言しました。
 その会話を聴いていた梶原景時(中村獅童)が刺客の善児に指示を出して暗殺させたのです。梶原は、頼朝の鎌倉入りの後に側近として迎えられていたのですが、さっそくの「活躍」ぶりでした。
 この出来事は「いい国(1192)作ろう鎌倉幕府」の1192年の12年前、1180年の出来事だそうです。平清盛もこの年に死んだという様子が描かれていました。鎌倉幕府が成立する前に、このようなことが起きていたとは知りませんでした。次回も楽しみですが、だんだん暗い話が増えてくるという予感もします。

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