「話し方」「聞き方」のバランスがコミュニケーションのカギ

三浦さやか 著『ごく普通のOLが1億円を生み出した「聞き方・話し方」』(KADOKAWA、2023年)

 人前で話すことが苦手です。緊張します。人の話を聞くのは大人数の1人として聞いている場合は気楽でよいのですが、少人数だとうまく会話のキャッチボールになっていないと感じることが多くて苦手です。少しでも上達する方法はないかと思い、本書を読んでみました。
 本書の著者、三浦さやかさんはパラレルキャリア(複業)の専門家です。本書の題名にあるように、もともとは普通のOLでしたが、起業し株式会社Lutzの代表取締役となり、年商1億円を達成しているそうです。
 本書の著者紹介のところに「月収7桁を達成」と書かれていて、恥ずかしながら私は「7桁って?」と金額がピンときませんでした。どうやら100万円以上ということのようです。いい金額です。

黄金比:「話す」は1割、「聞く」が9割

 本書の特徴は、「話し方」と「聞き方」をどちらか一方ではなく、セットで解説しているところだと思います。「話す」と「聞く」のバランスを整えることがコミュニケーション上手になるコツだと三浦さんは述べています(6ページ)。このバランスを私は今まであまり意識していませんでした。
「聞き方と話し方の黄金比は9対1」(29ページ)だと三浦さんは述べています。そして、聞くときの非言語情報として①表情、②姿勢、③うなずき、に気を配りましょうという本書の提言にはハッとしました(31ページ)。こちらが話していないときでも、何らかのメッセージは発していることに気付きました。

肯定的な「さしすせそ」

 そして、肯定的な相づちである「さしすせそ」はよく覚えておいて実践したいと思いました。「さすがですね」「知りませんでした」「すごいですね」「センスいいですね」「そうなんですね」の5つです。このうち、「すごいですね」と「さすがですね」は加藤光一『「ほめちぎる教習所」のやる気の育て方』で「魔法の3S」と重なっていることに気付きました。今回はこれが5つに増えて、使える場面も広がったので本書を読んで得をしたと感じました。

松岡修造さんのような情熱で話す

 「話し方」の部分では、一字一句を正確に伝えるプロのアナウンサーのような話し方を目指すのも1つの方向性ですが、一方で、お笑い芸人のようなキャラクター、ネタ(トークの内容)重視のような方向性もありえます。ですが、本書では松岡修造さんのような熱い人がお手本として示されていて興味深かったです。そして「相手を大切に思って、懸命に話すことで、楽しんでもらう」ということが大事だと三浦さんは述べています(93ページ)。これだとアナウンサーやお笑い芸人よりもハードルが下がっているような気がするので、目指しやすい方向性だと思いました。


 本書には、発声法の解説やSNSを活用したライブ配信のしかたの解説もあって、オンラインでいろいろなことをするようになった今の時代にマッチした「話し方・聞き方」の本だと思いました。文章は読みやすく、内容な盛りだくさんでお得感のある1冊です。

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