スポーツ・学業・仕事の目標クリアをコーチングする「原田メソッド」
原田隆史・他 著『仕事の教科書』
(徳間書店、2019年)
仕事で大きな成果をあげている人たちがどのようなことに気をつけているのか、ということに興味があります。本書『仕事の教科書』には、ビジネスの世界で有名な著者11人が仕事上の秘訣を公開してくれた本です。内容が盛りだくさんなので章ごとにレビューしていきたいと思います。
今回は、本書に集録されている記事から原田隆史さんの「ゴールから設定する原田式目標達成法」です。
樋口圭哉さんの『目標達成のための手帳術』を読んで、手帳などに目標を書くことの重要さを知りましたが、目標の書き方についてさらに勉強しようと思いました。
原田隆史さんは公立中学の教師時代に、陸上競技部の監督として13回の日本一の選手を育てた実績があるそうです。その指導法が「原田メソッド」と呼ばれるもので、目標(ゴール)を設定して日々のトレーニングを記録し、継続するというものです。選手自身が、専用の用紙に記入して監督に提出することを繰り返して、日々のルーティンの修正をはかるものです。現在では、この「原田メソッド」は企業活動、ビジネスにも取り入れられています。
本章「ゴールから設定する原田式目標達成法」を読んで特に勉強になったことは次の4点です。
1. 偉人・成功者の目標達成の法則は4つ
①結果を先に決める
②「心」「技」「体」「生活」の4つの要素を分析する
③達成する日付を決める
④ルーティン(習慣)を作る
原田さんはオリンピック選手、偉人、成功者といわれる人たちを徹底的に分析したそうです(19ページ)。その結果、浮かび上がってきた共通の法則が上の4つです。①の「結果を先に決める」というのは例えば、柔道でオリンピック3連覇した野村忠宏選手は大会前に金メダルを取ると決めたうえで、試合に臨んでいたそうです。②のうち「心」「技」「体」はスポーツだけでなく仕事のパフォーマンスの重要な要素です。そして「生活」ですが、これは自分の会社、家族との過ごし方、交友関係などです。「心」「技」「体」「生活」の4つにおいて足りないところを洗い出し、自分なりに取り組んでいくことが重要だと原田さんは言います(21ページ)。
③ですが期日を決めることは、成功へのプロセスを見えるようにし、モチベーションを高めるうえで重要です。
④ルーティン(習慣)を作ることによって、無意識のうちに行動を実行し、毎日のように繰り返すことが成功の条件になります。
2. 目標を書く
「原田メソッド」は一種のコーチングですが、一般的なコーチングが話すことに比重を置いているのに対して、原田さんは「文字で書く」ことに比重を置いています(23ページ)。そして「原田式長期目的・目標設定用紙」という用紙に記入して提出させます。目標を書くことは、「自分のうちなる答に気づく」という効果があると原田さんは考えています。
3. 日誌を書く
原田さんは日誌を用意し、次の2つの質問についての答えを選手に書かせ続けたそうです。
①今日の部活動(大人の場合は仕事)で、一番よかったことは何ですか?
②今日、相手から「ありがとう」の言葉が返ってきた行動はありますか? その行動を書いてください。
この2つの質問に対する答えを日誌に毎日書いて提出する。その日誌の厚さが「自信」の厚さと同じだと原田さんは考えます(31ページ)。
4. 目標(ゴール)を4行で書く
私は
〇〇年〇月〇日までに
□□□□□□を達成します
ありがとう。
この4行には、自分の達成したい目標(ゴール)が具体的に、客観的に表現され、しかも期日が示され、そして感謝の気持ちも表現されています。私は本書を読むまで知らなかったのですが、メンタルトレーニングの正解では、この4行で目標を書くのが一般的なのだそうです。是非やってみたいと思いました。
本書の原田隆史さんの章を読んで、目標の書き方、ルーティン化の重要性、日誌の有効性が分かりました。自分の生活の中に生かしていきたいと思いました。