〈大学生〉「パラグラフ・ライティング」の技術を習得できる!
渡邊淳子 著『大学生のための論文・レポートの論理的な書き方』
(研究社、2015年)
書き方には「作法」がある
新聞、雑誌、ブログ、メールなどそれぞれの媒体や記事には独特の特徴や書き方の「作法」のようなものがあると思います。どういう書き方が「ふさわしい」のか、ということですが、大学の授業や卒業論文で課題として出されるレポートや論文についても、やはり、独特の書き方というのがあります。いい論文を多く読んで、まねるというのも1つの方法ですが、論文・レポートの書き方の解説本を1冊は読んでおくとよいと思います。
「主張」を筋道だてて説明する
本書は論文・レポートの書き方の基本スキルを簡潔(かんけつ)に解説した本です。筆者の渡邊氏はまず、説得力のある論文・レポートには全体を貫く「論理」が必要だと指摘しています。つまり、論文・レポートとは1つの伝えたいこと(「主張」)を、筋道(すじみち)を立てて説明する文章だということ。そして、「主張する理由」と「理由を支える根拠(データや証言(しょうげん)など)」をつなぎながら読者に説得する。これが基本となります(5ページ)。
「主題文」と「支持文」
この基本は具体的に「パラグラフ・ライティング」という方法に置き換えることができます(53~64ページ)。1つのパラグラフを①そのパラグラフで最も大切な事柄を1文で表した主題(しゅだい)文(ぶん)(トピック・センテンス)と、②主題文の内容を詳しく述べる支持文(しじぶん)(サポート・センテンス)、で構成します。
ここで注意すべきなのは、1つのパラグラフで述べられる内容・情報を1つに絞(しぼ)ること。そして①を1つ、②を複数、パラグラフに書き込みます。①の部分に論文全体の「主張」につながる話題や論点を書き、②の部分に「主張する理由」と「理由を支える根拠(こんきょ)」を書く。
あとは、このパラグラフを複数つないでいく、というのが「パラグラフ・ライティング」の「型(かた)」です。本書を読んで、この「主題文と支持文」の説明が最も印象に残りました。
「序論」の書き方なども
本書は、論文・レポートの基本的な「作法」や「型」を理解するのにとても良い本だと思いました。論文の書き出しとなる「序論」の書き方についても①状況の設定、②問題の焦点化(しょうてんか)、③主張、の3段階とする、など簡潔で分かりやすい説明がなされています。
必要に応じて河野哲也『レポート・論文の書き方入門(第4版)』(慶應義塾大学出版会、2018年)、福地健太郎・園山隆輔『図解でわかる! 理工系のためのよい文章の書き方――論文・レポートを自力で書けるようになる方法』(翔泳社、2019年)なども読んでみることをオススメします。