読んでもらえる文章の「作法」が学べます!

尾藤克之 著『ちょっとしたことで差がつく最後まで読みたくなる最強の文章術』
(ソシム、2022年)

 ふだんメールで連絡をとることは多いのですが、その書き方は誰かに教えてもらったということはありませんでした。送られてきたメールでよく使われている言葉やフレーズを自分でも使って「自己流」で書いてきましたので、書き方に今ひとつ自信がもてませんでした。メールやブログ記事などの書き方の「作法」を学びたいと思い、本書を読んでみました。

「起承転結」はやはり重要!

 本書の著者、尾藤(びとう)克之(かつゆき)さんは主にネット記事の執筆を行う著述家、コラムニストで、アクセスが集まる記事を生み出してきた実績があります。
 本書を読んでまず思ったのは、文章の書き方としてよく言われる「起承転結(きしょうてんけつ)」というのはやはり有効だということです(95ページ)。このうち「転」の部分を除いた「起」「承」「結」は必須で、「導入(起)→事実(承)→結論(結)」という流れを基本として考えるとよいということです。
そして「結」の部分は文章のゴール(目的)であって、これがなければ何もストーリーを描くことができず、分かりにくい文章になってしまいます(96ページ)。書こうとしている文章の「結」=ゴールは何なのかを意識することが大切だと気づきました。

文章の「ルックス」という要素が肝


 次にこれまで自分があまり意識していなかったこととして「文章の見た目(ルックス)で9割が決まる」という本書の指摘です(136ページ)。本書はこれに関して、多くの具体的な手ほどきをしてくれています。それは①書き出し(最初の数行)、②漢字とひらがなのバランス、③タイトル、④使用する単語、などです。①の書き出しについては文学作品の冒頭部分を具体例として、読者をひきつけるテクニックを磨くべきこと、②については漢字とひらがなの比率はだいたい3 : 7ぐらいが目安だということ、④は一般に使用されている単語を使用することが大切で、「使う単語に迷ったらググれ」とアドバイスされています(150ページ)。

タイトルの付け方


 ③タイトルについては、読み手を意識すること、文章全体の目的を明確に表現すること、そして、「盛りすぎないこと」とアドバイスされています(140~141ページ)。「盛りすぎ」とは文章の中身を反映していないタイトルにならないように、ということだと理解できます。平凡すぎるタイトルでは読んでもらえませんが、タイトルと内容にギャップがあるのはNGなのでタイトルづけの訓練が必要だと感じました。

リモートワークの割合が増していくと

 本書「はじめに」で尾藤さんは次のように指摘しています。会話やトークによる直接コミュニケーションが主流だった時代に比べて、コロナ禍でリモートワークの割合が増していく流れの中では、コミュニケーションのスタイルが「テキストベース」に置き換わってきているという指摘です。私は「なるほど」と思いました。この流れの中で文章力がいっそう重要になっていくというのが本書の基本スタンスで、その具体的な方法を学びたい人には本書をおススメします。

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