(コーチング)アメリカのオフィスに「禅ルーム」が作られるワケ

合力知工・市丸邦博 著『サスティナブル・コーチング』
(同友館、2021年)

 スポーツ選手や組織の部下を育てる方法としてコーチングが有名ですが、その具体的な方法を知るために本書を読んでみました。
 前回、コーチングと相性がいい学問として「禅的思考」「ポジティブ心理学」「脳科学」の3つがあることが分かりました(ⅶページ)。今回は、その中の「禅的思考」の中身を紹介したいと思います。
 「禅的思考」を企業経営に取り入れた人の中には、アップルの創業者のスティーブ・ジョブズやグーグルのCEOを務めたエリック・シュミットなどがいます。日本では京セラやKDDIの創業者の稲盛和夫さんがいます。
 企業経営に取り入れられた「禅的思考」の1つに「今に集中する」ためのマインドフルネス瞑想があります。アメリカではオフィスに禅ルーム(瞑想する部屋)を作るということが増えているそうです(32ページ)。禅を意識した生活をすると集中力が高まって、仕事でよい結果が出せるというふうに「禅的思考」に対する評価が高まってきていることが分かりました。
 本書では禅の宗派である曹洞宗の住職、枡野俊明さんの『リーダーの禅語』という本の中から、いくつかの言葉が紹介されています。その中で私が最も気に入ったのは「大地黄金」という言葉です。その意味は、「自分が置かれている場所で精一杯尽くせば、その場所が黄金のように輝いてくる」ということです。そして、黄金の
大地は最初からどこかに存在するのではなく、自分が今いる場所で一生懸命に努力することによって、そこが黄金の大地に、つまり「天職」の場になるという意味です(35ページ)。
 コーチングが大事にしている考え方の中には「今に集中する」というものがあり、それは「禅的思考」と相性がいいということが分かりました。

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