(鎌倉殿の13人)頼朝・義経兄弟のドロドロがなぜかコミカルに
三谷幸喜・作『鎌倉殿の13人』(第19話)
(NHK大河ドラマ、2022年)

『鎌倉殿の13人』を私はリアルタイムで視聴していなかったのですが、このたびDVDで観る機会をもつことができました。脚本家の三谷幸喜さんのおかげで、今まであまり興味のなかった鎌倉時代の人々の生活や人間模様を知ることができてうれしいです。今回は第19話「果たせぬ凱旋」を観た感想をリポートします。
今回は平家を滅亡させた後の義経(菅田将暉)と頼朝(大泉洋)の不仲がストーリーの中心でした。その間を引き裂いていたのは後白河法皇(西田敏行)。義経は検非違使に任官して京の守護に当たるため、鎌倉に凱旋できません。鎌倉にいる頼朝は再三に渡って鎌倉に戻ってくるように義経に使いを出しますが、法皇は義経が京を離れないように画策します。
鎌倉に戻れば捕らえられて殺されると義経に吹き込む者も出てきます。そして、京の僧兵が義経を襲撃する事件があり、それを頼朝の指示だと信じ込まされた義経は、頼朝を討つことを決意し、挙兵します。これには法皇のお墨付き(宣旨)も付けられました。
後白河法皇は、武家の中で誰か一人が力を持つのを望まず、つねに「つばぜり合い」が行なわれるのを望んでいた様子が描かれていて、その狡さ、その執念に圧倒されました。以前は、平清盛と源頼朝の「つばぜり合い」、そして、今回は源氏同士の義経と頼朝の「つばぜり合い」を仕組んだというわけです。
そしてついに、今回の放送の終盤では、義経を討てという宣旨を頼朝に出すという展開。
義経の挙兵は、ぜんぜん兵が集まらず失敗します。義経は以後、身を隠しつつ逃げるしか手がなくなりました。兄弟どうしの殺し合いというのは見ていて悲しくなります。が、それをコミカルに描いていくのが三谷幸喜さんの脚本、そして、西田敏行さんたちの演技だなと感心もしました。
次回も楽しみです。