「魔法の3S」とは何か?

加藤光一 著
『「ほめちぎる教習所」のやる気の育て方』
(KADOKAWA、2018年)

自動車教習所=厳しい?!

 30年ほど前、自動車教習所に通っていた時、指導員の人に何度も怒られた記憶があります。運転が下手で、飲み込みも早いほうではなかったので致し方ないと思うのですが、苦い経験として記憶に残っていました。

 テレビの情報番組で「ほめちぎる教習所」の様子が放映されていて、かつての厳しい教習の記憶とのギャップに驚き、この本を手にとってみました。

少子化で教習所は減少ぎみ


 しかし、近年の少子化による若者数の減少傾向を受けて教習所数が200校以上も減っているとのこと(37ページ)。他の教習所との差別化を図るため2013年に「ほめちぎる教習所」に方向転換した三重県の南部自動車学校の代表が本書の著者、加藤光一さんです。「ほめる」教習を取り入れて以来、生徒数は増加、免許の合格率は4.5%アップ、卒業生の事故率は半数近くに減少などのよい効果が表れているそうです(6~8ページ)。

指導する側もストレス


 「昔の教習所は、バブルな体育会系」だったと書かれており(32ページ)、自分の受けた教習の感触は間違っていなかったんだと納得しました。熱心な指導員ほど厳しい指導を行う傾向があるが、そういう態度は指導員の自身のストレスとなり、消耗していたそうです(34ページ)。

魔法の3S


 具体的なほめ方は、「ありがとう」という言葉を使うようにする、ほめポイントを見つけたら「すぐほめる」、「すごい、さすが、すばらしい」という魔法の3Sを自然に使うなどが例示されています(100~106ページ)。


 うれしい副産物として、教習所内の人間関係もよくなり指導者のイライラも減少したのだとか(83ページ)。

 「ほめる」ことは会社勤めの人間関係疲れや、子どもと接する機会の多い人にも応用できそうです。私も「すごい、さすが、すばらしい」という魔法の3Sを使うようにして、効果を実感してみたいです。

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