「最近ミスやトラブル多いな」と感じたら報連相のしかたをチェックしよう
相田吉雄 著『ミスやトラブルが激減するリーダーの報・連・相』
(明日香出版社、2022年)
企業などでは報告・連絡・相談が大事だということは聞いたことがありましたが、その具体的な方法については全く知りませんでした。教えられたこともないので、人から来るメールの文面などを真似しながら何となく済ませていました。最近になって報・連・相をタイトルにつけた本書を見つけたので、報・連・相のポイントを学ぶために読んでみました。
本書の著者、相田吉雄さんは株式会社ヒューマビリティの代表取締役で人材育成コンサルタントをされています。そして、一般的な「人材」よりも、組織にとって不可欠な宝としての「人財」の育成を目指しています。
本書を読んで分かったことは主に以下の4つです。
1. 報連相は組織の「血液」のように大切!
報連相の目的は組織・チームの情報共有と連携強化だと相田さんは言います。組織・チームは本来、同じ目的を共有し、各自が役割を果たしながら1人では達成できない仕事をやり遂げるために結集しています。ところが、メンバーや部署が情報共有や意思疎通をしていないと、正しい判断や指示ができなくなり機能不全に陥ります。人間の体で言えば、情報や指示を運ぶ「血液」にあたるのが報告・連絡・相談です(22ページ)。この「血液」という例えはとても分かりやすかったです。
そして、組織やチームの中に役割分担があり、社長などの上層部は、
ビジョンの策定や指示を出すことが多く、部長・課長など、各部署のリーダーが橋渡しをし、部下やメンバーが現場レベルでやるべき仕事を実行するという流れがあることも整理されており(23ページ)、基本的なことかもしれませんが重要なことだと思いました。
2. トラブル報告はスピートが命!
担当者の発注ミスで、100個の注文をしたつもりが1000個届いたという話を時々耳にしますが、こういうトラブルや悪い情報は、早めに上司に報告することがポイントだと相田さんは指摘しています(35ページ)。報告が早ければ、食品などの場合、賞味期限前に他の店舗に回すとか返品とかも可能になりますが、日にちが過ぎていくと対策が難しくなります。自分のミスを悔やんで問題を1人で抱え込んでしまうと打てる手の選択肢が少なくなり、被害が拡大する可能性が広がります。
それから、何かのプロジェクトを任された場合にも、途中で中間報告をすれば、上司や周囲から漏れの指摘やチェック不足の指摘を受けることができます。この「中間報告」という考えは本書を読む前まで私はほとんど意識していませんでした。
3. 完璧な指示はない(だから質問せよ)
上司も人間なので、指示に抜けや漏れ、あいまいさがあって当然だと相田さんは言います(102ページ)。上司からの指示で、たとえば、「いつまでに」(期限)、どこで(場所)、どんな方法で(手段)、などが抜け落ちていたり、あいまいだったりすることはよくあることと心得て、必要ならばどんどん質問するのが重要です。英語の文法で5W1Hのことを習いましたが、これにHow mach(いくらで)、How many(個数)を加えて5W3Hをチェックしていくとよいとされています(104ページ)。もちろん、場合によってはこれらすべてを質問しなくても、自分の裁量に任されるということもありますが、チェックの仕方の基本は5W3Hを意識するとよいと思いました。
4. 指示を受けるときはメモを取れ!
以前、前田裕二さんの『メモの魔力』を読んで、メモすることの大切さを学びましたが、上司から指示を受ける時こそメモを取ることが大事だと相田さんは述べています(104ページ)。記憶に頼るのは危険だし、すぐに忘れてしまいまし、指示を出す方も不安になります。メモを取るのは、しっかり聞いていることを示す意味もあります。そのうえで、レストランのウエイターが注文を復唱するように、要点を復唱すれば上司も安心します(111ページ)。後で、出てくる料理が1品少ないレストランは嫌ですものね。「なるほど」と思いました。
本書を読むと報連相の具体的なやり方が学べます。特に報告の種類にはいろいろあって、トラブル報告や中間報告というものがあることを知ることができてよかったです。また、指示を受けるときのメモ、質問、復唱の重要性が分かりました。社会人のマナーや働き方の基本となる報連相に関心のある方にオススメの1冊です。