仕事のスピードアップのコツ:「悪口は時間のムダ」と割り切れるか?
中谷彰宏・他 著『仕事の教科書』
(徳間書店、2019年)
本書『仕事の教科書』には、ビジネスの世界で有名な著者11人が仕事上の秘訣を公開してくれた本です。内容が盛りだくさんなので章ごとにレビューしていきたいと思います。
今回は、本書に集録されている記事から中谷彰宏さんの「スピード・ビジネスマンの時間術――なぜ、あの人は速いのか――」です。
本章の著者、中谷彰宏さんは大手広告代理店の博報堂でCMプランナーとして活躍した後、独立しビジネス・コンサルタントや執筆などをされています。『面接の達人』などのベストセラーもあります。
本章では仕事のスピードアップ法に関する中谷さんのアイデアが紹介されています。前半はビジネスパーソンの仕事を細分化して、どの部分のスピードで速い遅いの差が生まれているのかの分析が18個書かれています。そして後半は、スピードアップのコツが13個書かれています。
前半部分から3つ、後半部分から3つ、私が特に気になったものを抜き出してみました。
まず、本章の前半部分から。
1. 会話のスピード
仕事で人と話すことは必須ですが、会話のスピードが遅いことで仕事の進行が遅くなると中谷さんは述べています(186ページ)。その原因は主に、ボキャブラリーの少なさと繰り返しの多さです。
2. 切り替えスピード
仕事で大小のトラブルが起こったり、うまく進まなかったりしたときに、自分のせいじゃないと言い訳したり、人に文句を言ったりしている人は仕事のスピードが遅いです。切り替えて、代替案を出す人は、仕事のスピードが速いです(187ページ)。
3. スタートのスピード
仕事では後手に回るほど余計な時間を取られることが多いと中谷さんは言います(188ページ)。スタートダッシュして早く取り掛かるほうが終わりまでスムーズで、余計な時間がかからない傾向があるようです。そして、「ヨーイ、ドン」となってからエンジンをかけるのではなく、スタートダッシュできるように車のエンジンをアイドリング状態にしている人が早くスムーズに仕事を遂行できます。これはとても大事だと思いました。
続いて本章の後半部分から。
4. 片づけをする
散らかった場所では、仕事のスピードが落ちます。これは、自分が意識していなくても脳が散らかった場所の処理に無駄なエネルギーを使っているからです(202ページ)。そして、パソコンのデスクトップがアイコンでいっぱいという状態も同様です。ですから、片づけは仕事の基本条件となります。
5. 1%のことをする
100%のことをやろうとすると、まずスタートが遅くなります。1つずつ、できることをしていく方がスピードアップできます(205ページ)。これも重要なことだと思いました。
6. 悪口の時間をなくす
本書を読んで、この「悪口の時間をなくす」という項目が一番印象に残りました。
ネット社会で最も時間を奪われるのは、悪口を見たり書き込んだりする時間です(212ページ)。
この言葉にはとても納得できました。気をつけたいと思いました。
私はいつも「時間がない」という状態で、追い立てられるように仕事をするのは嫌なので、本章の中谷さんのアドバイスを参考にして、早めに仕事をこなしていけるといいなと思いました。