(鎌倉殿の13人)北条家が直面した3つの「災いの種」とは?

三谷幸喜・作『鎌倉殿の13人』(第32話)
(NHK大河ドラマ、2022年)

 『鎌倉殿の13人』を私はリアルタイムで視聴していなかったのですが、このたびDVDで観る機会をもつことができました。脚本家の三谷幸喜さんのおかげで、今まであまり興味のなかった鎌倉時代の人々の生活や人間模様を知ることができてうれしいです。今回は第32話「災いの種」を観た感想をリポートします。
 前回、2代目「鎌倉殿」頼家(金子大地)が病で昏睡状態になっている間に北条が比企を滅ぼし、3代目を頼家の弟・千幡にする方針を決めました。ところが、頼家が息を吹き返したところから今回がスタートしました。
 千幡を征夷大将軍に推挙する願い出が京の朝廷に出され、それを後鳥羽上皇(尾上松也)が許可し、自ら名付け親となり、千幡を実朝(さねとも)としました。ここらあたりにも、朝廷と鎌倉との鞘当て、腹の探り合いがあるように感じました。
 鎌倉に残った災いの種は、①2代目「鎌倉殿」頼家が生きていること、②頼家の長男・一幡が生きていること、③比企家から北条義時(小栗旬)に嫁いだ比奈がまだ北条家にいること、です。
 頼家は北条時政(坂東彌十郎)を殺すよう和田と新田に命じますが、和田はそれを北条に通報し失敗します。そして頼家と北条との板挟みに思い悩んだ新田が自害するという結果に。自分が昏睡状態のときに北条が比企を討ったことは謀反と同じだと頼家は言いますが、もはや鎌倉幕府の実権は北条に移っているので、頼家が謀反を起こしていることになってしまうという危うい状態になっていることが今回のストーリーから分かりました。
 頼家の子・一幡は捕らえられて殺し屋・善児の家に匿われていました。これを災いの種と見た義時が善児に一幡殺害を命じますが、善児は「できねえ」と言って涙を流しました。これまで善児は血も涙もない完璧な殺し屋のイメージでしたので、これは意外でした。頼朝と八重の間にできた千鶴丸を殺したのは善児でした。義時が「千鶴丸とどこが違うのだ?」と問うと善児は「ワシを好いてくれている」という返事。妙に人間臭さが出ているなと思いました。
 そして、義時の妻・比奈は自ら離縁を申し出て、鎌倉を去りました。
 義時の顔から笑顔が完全に消えて、影が深くなってきています。次回も楽しみです。

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