(鎌倉殿の13人)源仲章(生田斗真)が「寒い、寒いぞ」
三谷幸喜・作『鎌倉殿の13人』(第45話)
(NHK大河ドラマ、2022年)

『鎌倉殿の13人』を私はリアルタイムで視聴していなかったのですが、このたびDVDで観る機会をもつことができました。脚本家の三谷幸喜さんのおかげで、今まであまり興味のなかった鎌倉時代の人々の生活や人間模様を知ることができてうれしいです。今回は第45話「八幡宮の階段」を観た感想をレポートします。
源頼朝の孫にあたる公暁(こうぎょう)の「鎌倉殿」襲撃計画がどうなるのか? これが今回の焦点でした。公暁は3代目「鎌倉殿」実朝だけでなく北条義時(小栗旬)の命も狙っています。公暁の父であり2代目「鎌倉殿」頼家を暗殺したのが義時だと確信したからです。それを匂わせたのは公暁の乳母の三浦義村(山本耕史)。
鶴岡八幡宮で行われた実朝の右大臣就任式典を木陰に身を潜めて襲撃した公暁。行列の並びを周到に情報収集した公暁でしたが、義時襲撃は失敗しました。式典直前に源仲章(生田斗真)が義時から「太刀持ち」の役目を取り上げたことで、本来は義時がいるはずの位置に仲章がいたからです。
公暁に斬られた仲章はびっくりしていました。2022年の年末に放送された『鎌倉殿の13人』ダイジェスト放送のとき、この場面の生田斗真の演技ははっきり言って不自然と感じました。斬られて死ぬ間際に「寒い、寒いぞ」と言うのは不自然だと思ったからです。ですが、今回DVDでこの場面を観ると、それほど違和感はありませんでした。この違いは、ダイジェストでは仲章の小賢しいキャラクターが省略されていたせいではないかと感じました。
そして、公暁は実朝を斬りました。実朝は公暁に斬られてもしかたがない、と諦めていた様子でした。
それにしても、警護の数が少ない。これは義時の策謀で、①まず公暁に実朝を討たせる、②「太刀持ち」の位置にいる自分が公暁を斬る、という手はずを想定していたからです。公暁がまず、実朝ではなく義時を斬ってくるとは想定していなかったところが、義時の抜けている感じがして面白かったです。
ところが、仲章が出しゃばって「太刀持ち」を交代したことで義時は命拾いをしました。この命拾いというのは頼朝が何度か経験したことです。女に会うために本来の宿所を抜け出している時に、宿所が襲われるというのが頼朝のパターンでした。
義時も今回、命拾いをしたことで「天に守られている」という感覚をもったようです。いよいよ「頼朝気取り」、武士の頂きにあるのは北条という振る舞いになってきました。
それにしても政子は4人の子どもを産んで、4人とも死んでしまったことが分かりました。男子は2代、3代の「鎌倉殿」になりました(頼家、実朝)。しかし、宿老たちの策謀が渦巻くなかで命を奪われました。女子は、長女の大姫は源義仲の嫡男と許嫁の関係にありましたが、この許嫁が、義仲と頼朝の関係が悪化する中で死に追いやられました。そして大姫は病で死にます。次女はかなり小さい頃に死んでいます。
今回のラストのところで政子は死のうとしていましたが、それは止められました。伊豆へ帰ることも認められませんでした。私は、政子が鎌倉幕府を「乗っ取った」というイメージをもっていましたが、この番組を観てイメージが変わりました。
次回も楽しみです。

