就活のプロが断言!面接官が採用を決める「4つの力」と「経験エピソード化」の極意

齋藤孝 著『就活成功塾』
(KADOKAWA、2019年)

 本書は明治大学文学部教授の齋藤孝さんが、学生の就活支援に対するご身の経験をもとに、就活を成功させるコツについて論じたものです。同時に、面接など「話す」能力が求められる場面を乗り切る力をどのように身につけていくのかについて齋藤さんの考えが述べられています。面接で何を話せばいいか分からない…そんな不安を抱える学生必読!の本です。


 齋藤さんは、いくつもの企業から内定を勝ち取る学生の特徴を4つあげています。それは素直さ、タフさ、主体性、言語能力です。
 素直さとは、正直さということでもあり、話を盛り過ぎず、等身大の自分を出すことを心がけることです。企業では取引先との交渉や顧客対応の場面で頭を下げる場面がどうしても生じますし、社内的にも正確な情報共有が必要になります。この意味で、就職の面接官からすると、話を盛り過ぎる人は「危なっかしい人」と受け取られてしまいます。
 タフさとは、チャレンジ精神に満ちていて、なおかつ失敗から回復する力をもっていることです。新入社員は多くの業務を覚えていく必要があります。少しの失敗でめげてしまう人よりも、タフな人材を企業は求める傾向にあります。
 主体性とは能動性ということでもあり、業務上の関係者とのコミュニケーションについて当事者意識をもって対応できる人を企業は求めています。
 そして、言語能力です。自分の意見を適切に表現できる人は就活の面接で高く評価されます。より具体的には、自分がどういう人物で、どういう能力をもっていて、そのことが当該の会社とどう結びつく可能性があるのかを表現できる人の評価が高くなります。
 なお、最近は即戦力が求められる傾向があるとはいえ、やはり学生の新規採用では、企業側も学生のポテンシャル(潜在能力)を評価して採用するということにならざるを得ないというのが齋藤さんの見解です。
 入社前に完全な即戦力になっている必要はなく、学生としてはポテンシャルを示すことができることが重要ということです。そのために学生は、いろいろな経験をし、失敗も含めた経験をエピソード化して表現することができることが大事だと本書では述べられています。これが本書で最も重要な指摘だと思いました。
 それともう1つは読書の大切さです。読書は自分のポテンシャルを育てることになるということも本書で論じられていました。
 今後就職活動を控えている学生の方に本書をおすすめします。

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