(鎌倉殿の13人)「頼朝討たれる」の誤報がさらなる闇を呼ぶ
三谷幸喜・作『鎌倉殿の13人』(第23話)
(NHK大河ドラマ、2022年)

『鎌倉殿の13人』を私はリアルタイムで視聴していなかったのですが、このたびDVDで観る機会をもつことができました。脚本家の三谷幸喜さんのおかげで、今まであまり興味のなかった鎌倉時代の人々の生活や人間模様を知ることができてうれしいです。今回は第23話「狩りと獲物」を観た感想をレポートします。
今回の話の主な舞台は富士の裾野です。頼朝(大泉洋)の息子・万寿の成長の証として「巻狩り」が催されました。「巻狩り」は、鹿や猪を追い込み弓矢で仕留める儀式で、軍事演習という意味もありましたが、頼朝としては、この機会を利用して、次の「鎌倉殿」は万寿であることを世に知らしめようとの狙いがありました。
同時進行するストーリーとして、この「巻狩り」を利用して頼朝の首を取ろうと狙う曽我兄弟の謀反がありました。そして、曽我兄弟の仮親(烏帽子親)が北条義時(小栗旬)の父・時政だったのです。時政は、曽我兄弟による謀反の企ては知らず、曽我兄弟の親を殺した工藤を狙った敵討ちだと信じ込まされていたのです。ですので、この謀反が失敗すれば、北条家は頼朝から処罰される危険が及んでいました。そして、もちろん、首を狙われた頼朝も命の危険が迫っていたのです。
さて、謀反は成功したかに思えましたが、工藤兄弟が討ったのは、頼朝の代わりに寝ていた工藤。結果として、曽我兄弟は親の敵討ちには成功しました。この時、頼朝は若い側女のところに密会に出かけており、危うく死を免れました。この展開は第7話で江口のりこ演じる亀という女のところで密会していた頼朝が死を免れたのを同じパターンでした。頼朝の強運ぶりが今回も発揮されました。
もう1つの同時進行ストーリーは、頼朝が討たれたのではないかという、結果的には誤報となった知らせが鎌倉に伝えられた時、頼朝の弟の範頼(迫田孝也)が比企能員(佐藤二郎)の謀略に乗せられて、二代目「鎌倉殿」のような振る舞いをしてしまいました。これを知った頼朝が範頼にどのような仕打ちをするのか。義経に続いて、範頼も兄に粛清されそうな予兆が見えました。
さて、北条義時(小栗旬)の悪知恵によって、曽我兄弟の企ては「謀反に見せかけた敵討ち」だということにされ、北条家は難を逃れました。義時がどんどん悪い顔になってきています。次回も楽しみです。