メールの書き方に差が出ちゃう
亀谷俊朗 著『ちょっとしたことで差がつくメールの書き方』
(アルファポリス、2020年)
メールの書き方を教えてもらった記憶がありません。今までは仕事上のメールも自分がもらったメールの文面を「何となく」真似しながら書いてきたように思います。そこで今回はメールの書き方についての本を読んでみることにしました。
本書の著者、亀谷俊朗さんは、出版社に勤務した経験があり、現在はビジネス書作家のデビューを支援する出版プロデューサーの仕事をされています。本書は、これまでの亀谷さん経験を踏まえながら、メールでの表現方法についてノウハウを披露してくれています。
メールとラインは似ている面もありますが、メールでは基本的に絵文字やスタンプは使えず、フォーマルなビジネス文書としても使われます。メールの書き方を改めて知ることができて私にとっては嬉しい1冊でした。
本書を読んで私が思ったのは、メールの書き方のコツは「シンプルかつ丁寧」ということなのではないかと思いました。シンプルさが大切だと思ったのは、亀谷さんが次のように述べていることに共感したからです。
偉い人のところには、あちこちからメールが飛んできます。
お願いごとを送ってくるのも、1人や2人ではありません。1つひとつの内容を最後までチェックするというのは、物理的にも困難です。
私の経験から言うと、大体偉い人というのは、メールを3行くらいまでしか読んでいませんし、返信も3行以上になるものをくれません。(32ページ)
そうすると、重要なメールであればあるほど、伝えたい内容をシンプルに書いて送ることで、読んでもらう比率を上げていく必要があると思いました。
それに加えてメールでは、「丁寧」さも重要だと思いました。それに関して亀谷さんは次のように述べています。
同じ言葉でも、文字にすると会話のときより3倍(個人的印象です)は強く伝わるものです。この「法則」をわかっていないと、思わぬ誤解でピンチに陥ることもあります。(4ページ)
これにも納得しました。会話と違って文章では、表情や間によって伝えることができないことに気付きました。
本書では「シンプルかつ丁寧」なメールの書き方が「悪い文例」と「良い文例」をもとにして学ぶことができます。例えば、「今回、納期に間に合わないということでガッカリです、ダメですね。」という「悪い文例」では、ネガティブな印象が増幅され過ぎてしまうので「今回、納期に間に合わないことは残念です。来週の納期には、いつもの優れた品質の製品が届くことを期待しております。」とポジティブな印象の文面に変えることが示されています(22ページ)。
他にも次のようなメールのコツが示されています。
「大事なことは最初の3行で書き尽くそう」(38ページ)
「メールの件名を何にするかというのは、自分の頭の中で何を書くべきなのかと整理整頓する作業」(56ページ)
「どんなに親しい間柄であっても、メールでは丁寧さのレベルを会話や電話よりも一段上げる気配りが必要です」(70ページ)
「名前の書き間違いは致命傷」(104ページ)
「メールでやってはいけないのは、送ってはいけない人に、送ってはいけないメールを送ること」(105ページ)
どれも非常に大事なことだと思いました。
今までは「見よう見まね」で「何となく」書いていたメールでしたが、本書を読んだことでメールの書き方の全体像が見えたように感じました。
それから、メールには向かない事柄があるという亀谷さんの指摘(21ページ)も重要だと思いました。基本的にメールは用件を伝えることには向いているのですが、気持ちを伝えようとすると文章が長めになってしまうため、読まれにくいし伝わりにくいということです。気持ちを伝える必要がある、「お詫び」「お礼」「お祝い」「激励」「なぐさめ」「抗議」などは、場合に応じて電話や直接会って話すという方法をとるべきだと気付きました。