(ジブリ)高畑勲監督と対話スタッフが紡いだストーリー

鈴木敏夫 責任編集『スタジオジブリ物語』
(集英社、2023年)

 500ページを超える、内容盛りだくさんな本書『スタジオジブリ物語』のレビュー第3弾です。今回は高畑勲さんの仕事ぶりが感じられた箇所をピックアップしてみました。
 高畑勲監督の遺作となったのは2013年公開の『かぐや姫の物語』です。高畑監督の前回作品『ホーホケキョ となりの山田くん』から14年の歳月が経過しています。そして、『かぐや姫の物語』の制作には8年かかっています。
 高畑さんは自分では絵を描きません。ここが宮崎駿さんと大きく違うところです。そして、企画を作品として仕上げるまでに高畑監督の話し相手になるスタッフがついていたことに驚きました(429ページ)。この役目を以前は鈴木敏夫さんが務め、『かぐや姫の物語』のときには若手の岸本卓さんが務めたりしたそうです。この話し相手のスタッフは大変そうだなと思いましたが、こういう地道な作業から壮大な物語と映像表現が立ち上がるということを考えると、クリエイティブな対話、ディスカッションのようなものだったのかなと想像しました。
 『かぐや姫の物語』は『竹取物語』という原作古典を映像化したという単純なものではないということが分かりました。いつか『かぐや姫の物語』を見直すときの参考になりました。

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