(鎌倉殿の13人)北条政子・義時の連合軍が成立した回
三谷幸喜・作『鎌倉殿の13人』(第26話)
(NHK大河ドラマ、2022年)

『鎌倉殿の13人』を私はリアルタイムで視聴していなかったのですが、このたびDVDで観る機会をもつことができました。脚本家の三谷幸喜さんのおかげで、今まであまり興味のなかった鎌倉時代の人々の生活や人間模様を知ることができてうれしいです。今回は第26話「悲しむ前に」を観た感想をレポートします。
前回のラストで落馬した頼朝(大泉洋)が、今回は意識が戻らないまま臨終します。しかし、完全に息を引き取る前に次の「鎌倉殿」を誰にするのか、跡継ぎ問題で揺れ動く様子が描かれました。
頼朝の息子である頼家が10代後半でまだ若いことで、すんなり後継者は頼家には決まらなかったのです。対抗馬として頼朝の異母兄弟で僧の全成がいました。全成が後継者になれば、その妻の実衣は北条政子(小池栄子)の妹ですので北条家は安泰と考えた北条時政・りく夫婦が、全成が「鎌倉殿」になるよう策動します。
しかし、頼家の乳母(育ての親)夫婦である比企能員(佐藤二朗)夫婦は頼家が「鎌倉殿」になるよう動きます。しかも、比企は頼家に娘を嫁がせる予定であり、既に子を孕んでいた。比企能員と北条時政の対抗心がゴタゴタに拍車をかけていたと思いました。
北条義時(小栗旬)は、どう考えていたのか、少し疑問をもちました。彼の態度はややはっきりしない感じで、どうやったら鎌倉がまとまるのかを考えていたように見えました。ただ、生前の頼朝から「次は頼家」と聞かされていたので、できれば頼家が「鎌倉殿」になるほうに傾いていたのかなという感じがしました。
義時は姉の政子に、「これからは姉上が決めることも多々ある」と持ちかけました。そして、政子が頼家と話し、頼家は次の「鎌倉殿」になる方向で進んでいきます。この流れで、全成の妻・実衣と政子の姉妹が仲違いすることとなってしまいました。
そして、頼朝の葬儀が終わると、義時は鎌倉から去ろうとしますが、姉・政子が「私にだけ責任を押し付けて、卑怯よ。これからは私を支えてちょうだい」と説得しました。
北条政子と義時の2人が鎌倉幕府で大きな力をもつ流れが出来上がったのはこの時だったのではないか、と思いました。とても勉強になりました。