(パワーポイント)〈図解〉には「基本の型」があった!

松上純一郎 著『ドリルで学ぶ! 人を動かす資料のつくりかた』
(日本経済新聞社、2018年)

 最近はリアル書店に行くことは減ってきた私ですが、この間久しぶりに行った本屋さんでこの本を見つけました。パワーポイントを使って発表するときのスライドの作り方、配布資料の作り方をもう少し学びたいと思っていたところ、本書を見つけました。
 著者・松上さんは外資系コンサルティング会社に勤務経験もあるプレゼンテーションのプロフェッショナルです。これまで私はパワーポイントの使い方をしっかり学んだことがなく、全くの自己流でやってきましたので、ここらで専門家のかたのスキルを学ばせてもらいたいと思いました。
 本書を読んで、私が特に勉強になったのは以下の4点です。

1.資料は「図解」で分かりやすくできる

 文字ばかりの資料は読むのに時間がかかるわりに、伝わりやすさは今ひとつです。私は常々このことを感じてきました。ですからパワーポイントの「スマートアート」という機能を使って「図解」にチャレンジしてきました。
 本書は、その「図解」の基本型が6つあることを明確に示してくれています。これが本当に勉強になりました。6つの基本型とは①列挙型、②背景型、③拡散型、④合流型、⑤フロー型、⑥回転型、です。
 あるテーマがどのような要素から成り立っているのかに分解して考えることが基本となります。たとえば、「社内の課題」というテーマを考えて、その要素が「営業の課題」「マーケティングの課題」「商品開発の課題」という3つだとする。この3つの要素の関係性を考えて、あまり強い関係性がないという場合、3つを列挙するかたちで図解できるので、①列挙型で示します。四角の枠(テキストボックス)を3つ用意して、それぞれの中にテキストで「営業の課題」「マーケティングの課題」「商品開発の課題」と記入します。
 ②背景型の場合は、たとえば3つの背景があって1つの結果が生じているということを示します。③~⑥も同様の考え方です。こういう基本型があるということを私は今まで知りませんでしたので、本書を読んでとても良かったと思いました。

2. ピクトグラムも利用可能

 ピクトグラムは公共施設などの非常口案内のようなヒト型のアイコンです。外国人にも分かりやすいデザインです。これを利用することでスライド内の文字を減らしつつ、メッセージを明確にするという方法があることを、本書を読んで知りました。
 しかも、最近ではさまざまな種類のピクトグラムが考案され、ネット上で無料ダウンロードできるURLも紹介されていました。

3. パワーポイントで作図できる

 私はもっぱらパワーポイントの「スマートアート」に頼っていますが、中級者・上級者向けとしては自ら作図するという方法があります。本書はその具体的なやりかたが解説されていました。
 「スマートアート」は便利なのですが、自分のイメージする「図解」に当てはまるものがない時には、自ら作図することも視野に入れていこうと思いました。

4. 強調を加える

 「図解」したうえで、どこを強調したいのか。どのようなメッセージを打ち出したいのか。これを考えることは重要だと思います。本書では、強調したい箇所に、色をつける、矢印をつける、解説文を付け加えるなどの強調のしかたがあることが述べられていました。もちろん、これは知ってはいたのですが、これまではあまりできていなかったと反省しました。強調という「ひと手間」にこだわっていく必要があると感じました。
 本書は、ところどころに空欄があり、自分で記入した後で解説があるというドリル形式が採用されています。
また、グラフの作成法も解説されています。私としてはパワーポイントの「図解」にしかたが、とても勉強になりました。

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