超・初心者がピケティ『21世紀の資本』を読んでみた!

橘龍介 著『中学生でもわかる! ピケティ超入門』
(株式会社ICE、2016年)

 2014年に出版された経済学者トマ・ピケティの『21世紀の資本』は、700ページを超える学術書であるにもかかわらず、世界的なベストセラーとなりました。私はあまり経済学の本を読んでいませんでしたので、この本を敬遠し、現在まで読んでいません。
 ただ、原書の難解さを噛み砕いて経済学初心者にも解説した本が何冊か出ていることを心強く思い、今回「中学生でも分かる!」というキャッチフレーズに惹かれて、この解説本を読んでみました。
 以下に、特に大事そうに感じたポイントを3つ抽出してみました。


1.「格差のU字」:格差は、産業革命の頃は高く2つの世界大戦の時代に下がり、戦後復興が進んだ頃に再び上昇していく。


2.「r>g」:歴史的には、「資本家が保有する資本の増加率」(資本収益率r)は、労働による成長(世界経済成長率g)を上回っている(「r>g」)時期が長い。しかし、1910年頃から2012年頃の約100年はその例外だった。その理由は3つある。
①大戦によって資本家の資本が失われたこと
②大戦後の復興プロセスでは非常に高い経済成長率が実現していたこと
③大戦後に、国家は資本家から高額の所得税・相続税を徴収していたこと。
 しかし2012年頃から新自由主義が定着したことによって再び「r>g」に転じた。


3.ピケティの主張:タックス・ヘイヴン(極端に税率の低い国)の存在を認めず、国際協調的に累進課税(資本家への課税を高める政策)を進めるべき。
 

 経済学初心者の私が理解できたことをまとめると、まず、ピケティ『21世紀の資本』のメインテーマが格差問題であること。
 続いて2つの世界大戦を挟む約100年間は格差が縮小した時代であったが、2010年頃から世界的に新自由主義が根付いたことによって、再び格差が拡大する時代に入っていること。
 最後に、ピケティの主張は、格差を是正するためには、資本家に多く課税し、しかもタックス・ヘイヴンを認めないという点にあることが分かりました。
 本書『中学生でもわかる! ピケティ超入門』は、たしかに初学者にもスッキリと理解しやすい解説本だと思いました。

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