ガンダムのキャラクター、モビルスーツ、ストーリーの解説本

機動戦士ガンダム大解剖
(三栄、2017年)

 小学校低学年の時に放送開始された『機動戦士ガンダム』にはハマりました。ビームサーベルみたいなのを自作してチャンバラごっこしたり、ガンプラを作ったり、面白かったです。本屋を歩いていたら本書を見つけて、思わず買ってしまいました。

シャアとアムロのライバル関係はもちろん

 本書は1979年に始まったファースト・ガンダム以降の物語を、特にライバル同士の主人公アムロとシャアの絡みを中心に解説しています。私はガンダム・シリーズのすべてを観ているわけではないので、たとえばファースト・ガンダムの続編のZ(ゼータ)ガンダムのシャアとアムロの関係についての解説は物語の理解の助けになり有益でした。地球連邦軍vsジオン公国という構図だったファースト・ガンダムと違って、Zガンダムではティターンズvsエウーゴvsアクシズという三つ巴(どもえ)の構図で複雑になっているのが中学生の私には理解しにくかったですが、本書はしっかりと解説してくれています。Zガンダムではアムロとシャアは味方として共闘していますし、アムロがガンダムに搭乗(とうじょう)せず、逆にシャアがガンダム・タイプのモビルスーツ「百式(ひゃくしき)」に乗っているというのが、テレビ放送当時は違和感を覚えまくっていました。しかし、最近になってDVDでZガンダムを見直した時には、こういうのもアリだと思えました。本書の末尾につけられている「モビルスーツ&パイロット名鑑」もDVDを観る時に大いに役立ちました。

「オデッサ作戦」も

 私がガンダムで最も好きなのは、ガンダムの「1年戦争」の舞台がスペース・コロニーのサイドセブンからホワイトベースという宇宙戦艦に乗って地球に降下し、北米→ユーラシア大陸→南米をぐるりと回りながら戦闘を繰り返して宇宙に舞台を移しながら展開していくところです。大げさかもしれませんが、この「世界一周」によって少年時代の私の世界観が少し広がったように思います。本書では、その様子を追体験することができました。地球では、最初、北米大陸に降り立ち、シアトルのあたりで一戦。ここでシャアは自分の指揮官であったザビ家の末子ガルマを騙(だま)して戦死させ、いったん物語から退場します。入れ替わるように、ランバ・ラルのモビルスーツ、グフがアムロのガンダムに前に立ちはだかり中央アジアの砂漠での激闘がある。ここでランバ・ラルに勝ったアムロが3機のドムの襲撃(しゅうげき)を受ける……。何とかそれを切り抜けて「オデッサ作戦」へ。このオデッサがウクライナの領土だということを最近になって知ることとなりました。ニュースなどではロシア語の「オデッサ」からウクライナ語の「オデーサ」と発音されるようになりましたが。

「間違いない、奴だ」

 それから北アイルランドの港湾都市ベルファーストでの水陸両用モビススーツたちとの戦いを経て、大西洋をわたりアマゾン川流域の地球連邦軍の拠点ジャブローの戦いでシャアが再登場します。敵の水陸両用モビススーツのズゴックが1機だけ赤色に塗装(とそう)されているのを見て、アムロは「間違いない、奴だ……奴が来たんだ」とつぶやくシーン、本書でもしっかり押さえられています(41ページ)。ハイ、ハイ、外(はず)しませんねぇ……。

大河原邦男さんのインタビューも

 ほかにも、ガンダムやザクのデザインをした大河原(おおかわら)邦男(くにお)さんのインタビューもうれしかったですね。大河原さんは「ザクの顔は、ガスマスクがモチーフなんですね。」と述べています(63ページ)。「なるほど」と納得しました。
 そして、モビルスーツのガンダムとザクのデザインがどのように進化していったのかについての解説やガンプラの進化、テレビ放送の各回の題名、脚本、演出のリストなども私にはとてもうれしかったです。
 本書を手元に置きながらDVDを見直していくのが楽しみです。また、本書の「ガンダム小説ガイド」に紹介されている小説版のガンダムもいつか読んでみたいです。テレビ版や劇場版とは違った味わいがありそうですし、別の展開もあるようなので面白そうです。
 本書はガンダム愛が詰め込まれている1冊ですので、ファンの方に是非おススメします。

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