(読書術)本の内容を実践し検証してみる

本要約チャンネル 著『「読む」だけで終わりにしない読書術』
(アスコム、2021年)

 当サイト(hon-navi.com)は「趣味と教養のための読書案内ブログ」で、本選びの参考になるようなレビューを掲載しています。私自身も、本の選び方や読み方について、もっと勉強していきたいと思っていましたので、今回は読書術について書かれた本書を紹介します。

YouTube「本要約チャンネル」管理人によるユニークな読書術

 本書の著者はYouTubeで「本要約チャンネル」を運営している、たけみさんとりょうさんです。本書の「はじめに」で述べられていますが、たけみさんとりょうさんは、長年、心身の不調に苦労し、20歳を過ぎて大学の医学部で知り合い、二人でさまざまなビジネスを手掛けつつ海外に移住しています。YouTubeの「本要約チャンネル」は2021年11月時点で約75万人がチャンネル登録しています。
 たけみさんとりょうさんが推奨する読書術は、速読でもなく多読でもなく、「目的を明確にして本を読み、書かれているメソッドを実践し、効果を検証する」というものです(14ページ)。たとえば、ランニングが健康によいということが本に書かれていれば、その効果を実際に自分の生活の中に取り入れて、自分の体調や集中力アップの効果を記録し、検証します。この方法でたけみさんとりょうさんがこれ実践してきたものの一部が一覧表に記載されていますが、①生活習慣に関するもの、②食事、③全般、という3つのカテゴリーに分けられ、①では、サウナ、冷水シャワー、ストレッチ、朝散歩、朝日光、筋トレ、就寝前のブルーライトカット、睡眠時間チェック、作業途中運動などがあります。また、②は赤ワイン、グルテンフリー、起床後の水分補給、週末断食、起床直後のコーヒー、添加物断ち、サプリ関連などです。③はToDoリスト、やらないことリスト、電子書籍、音声書籍、仕事前ルーティーン(音楽を聞く等)などです。これらの項目ごとに手帳やカレンダーを使って「-3」「-1」「0」「+2」「+5」などの度合いを数字で記録していきます。数字はやってみた自分の体感でよいそうです(125ページ)。たけみさんとりょうさんは、この方法で長年苦しんだ体調不良を改善してきたそうです。本書の題名『「読む」だけで終わりにしない読書術』の意味がとてもよく分かりました。

7つの読書術

 ただ、本で読んだ内容をすぐに実行に移せる人ばかりではありません。そこで、本書では、そのように実行する前の準備段階として7つの読書術が紹介されていて、とても参考になりました。それは次のようなものです。

①「目的型読書」
 本を選ぶ前に、本の要約サイトを活用し、本を読む目的を具体化・明確化する。また、本の表紙や帯、目次、著者のプロフィール、まえがき、書評、読者レビューなどをチェックし、目的に合致する本を絞り込む。

②「ドーパミン読書」
 本を買ったら、熱がさめないうちに、すぐ読む。

③「ランニング読書」
 本を読む前に、5分間の軽いランニングをする。

④「能動型読書」
 メモをとりながら本を読んだり、読んだ直後に感想をメモしたりする。

⑤「分散型読書」
 スキマ時間をうまく活用する。

⑥「マインドセット読書」
本に書かれている内容を実践し、「読書には効果がある」とマインドセットする。本に書かれているメソッドのうち、簡単で、すぐに効果が出ることを試し、小さな成功体験を積み重ねる。

⑦「レコーディング読書」
 本に書かれている内容を実践し、記録し、検証する。

 ①から⑦のうち、最高段階は⑦ですが、たとえば③「ランニング読書」や⑤「分散型読書」もたいへん興味深いと思いました。たけみさんとりょうさんは、健康本、ビジネス本、自己啓発本、投資本などさまざまなジャンルの本を1万冊以上読み、数々のメソッド(方法)を実践してきたそうです(104ページ)。その経験をふまえて、「1つのジャンルについて、1冊の本だけ読んで満足せず、1つの考え、1つのメソッドだけを盲信しないこと」が大切で、「本を読んで実践した内容を記録し、検証すること」が重要だと述べています。ある分野について最低3冊は読むことが大事だと鎌田靖さんの『最高の質問力』に書いてありましたが、たけみさんとりょうさんの場合は、自分に合ったメソッドを見つけるためには1冊で満足しないことが大事だと述べておられるように思いました。

 私も睡眠時間などについて手帳に記録するようにしていますが、本書を読んで、もっと多くの項目を記録し、効果を検証してみたいと思いました。また、本書で提案されている「目的型読書」の本選びに役立てるようなブログ記事を提供していけるといいなと思いました。

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