(鎌倉殿の13人)兄弟を信じない頼朝は「変わらぬ人」ではなかった

三谷幸喜・作『鎌倉殿の13人』(第24話)
(NHK大河ドラマ、2022年)

 『鎌倉殿の13人』を私はリアルタイムで視聴していなかったのですが、このたびDVDで観る機会をもつことができました。脚本家の三谷幸喜さんのおかげで、今まであまり興味のなかった鎌倉時代の人々の生活や人間模様を知ることができてうれしいです。今回は第24話「変わらぬ人」を観た感想をレポートします。
 今回の題名は「変わらぬ人」ですが、劇中のセリフで「人は変わるのです」というのがありました。これは木曽義仲に仕えた女戦士・巴御前(秋元才加)が頼朝の長女・大姫(南沙良)にかけた言葉です。巴御前は木曽義仲に恋い焦がれていたが、義仲の死後、鎌倉の御家人の和田家に入り、義仲のことは忘れるようになった。大姫は木曽義仲の長男の許婚者だったが先立たれ、彼のことを忘れられず悩んでいた。そうだとすると、大姫は「変わらぬ人」です。
 今回のストーリーでは、頼朝(大泉洋)は「変わらぬ人」として描かれたのか? 私は、こういう疑問をもちましたが、答えは「ノー」だと思いました。頼朝は変わったのだと思いました。一時期、頼朝は鎌倉の御家人たちを信じることができず、義経や範頼など自分の兄弟たちを取り立てました。しかし、前回の第23話で頼朝が死んだという誤報を受けた範頼が「次の鎌倉殿」という振る舞いをみせたことを「野心あり」として今回の最期のところで殺害しました。頼朝のこの行動は、兄弟を信じられなくなった頼朝が変わったことを示しているように思いました。
 さて、頼朝が夜眠れないという描写や、「死が近い」というナレーションがありました。いよいよ頼朝亡き後の鎌倉幕府の混乱期に入っていきそうです。次回も楽しみです。

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