話し方の改善法4選

高橋浩一 著『「口べた」でもなぜか伝わる東大の話し方』
(ダイヤモンド社、2023年)

 人前で話すのは苦手意識があります。緊張します。三浦さやか 著『ごく普通のOLが1億円を生み出した「聞き方・話し方」』など、話し方についての本を何冊か読んで勉強していますが、今回は本書で勉強させていただきました。


 本書の著者、高橋浩一さんはTORiX株式会社の代表取締役をされています。この会社は、話し方、伝え方に困っている人たちの役に立ちたいという思いから設立されたそうです。高橋さんご自身が、かつては「口べた」だったそうですが、今では得意分野になったそうで、「口べた」を克服した経験、自ら開発したメソッドを本書で解説してくれています。内容が豊富でしたが、今回は「話し方」のポイントとして、次の4点を抽出しました。

1. 相手から「ノー」を食らわないことを考えて話す

 著者の高橋さんは「相手の脳ミソに逆らわない話し方」というものがあると言います(12ページ)。高橋さんは脳科学がご専門というわけではありませんが、数々の脳科学の参考書から、本能をつかさどる「古い脳」と理性をつかさどる「新しい脳」を解説しています(34ページ)。そして、相手の本能と理性、両方から「ノー」を食らってしまうと、相手に自分の意思は伝わらず、相手に動いてもらえないことになってしまうと述べています。
 「古い脳」は、反射的に「危険」と判断しガードすることが得意です。「業界初」「今すぐ」「提案」などの言葉は「古い脳」が「ノー」を出す可能性がある「落とし穴」ワードですので、使い方、使う場面に工夫が必要という高橋さんの指摘(36ページ)は、私は今まで意識していなかったので気をつけようと思いました。

2. 相手のタイプを見極める

 人は迷ったら「動かず、今のままでいる」選択をするので(43ページ)、相手にとっての「イエス」を考えて積極的に打ち出す必要があります。
 それは「相手のタイプを見極める」ということでもあります。高橋さんは①論理タイプ、②感情タイプ、③政治タイプ、という3つのタイプを示しています(54ページ)。私は、こういう分け方を今まで知りませんでした。特に③は、「自分の意見を持たず人の意見で決断する人」と定義されていて(55ページ)、「そういえば、そういう人もいるな」と思いました。
 そして、①論理タイプは、メリットや一貫性が大事、②感情タイプは、本音や一体感が大事、③政治タイプは、「みんな」や「権威」が大事なのだという高橋さんの指摘(57ページ)は、とても明快な分け方で、勉強になりました。
 もちろん、相手は①②③のどのタイプなのかを見極めるのが難しそうだな、経験が必要だなと思いました。しかし、こういうことを何も知らないよりも、知っているほうがいいのだろうな、と思いました。

3.「枕詞」は超重要

 人と話すとき、会話の冒頭に言う一言が「枕詞」です。しかし、私は今まで「枕詞」を全然意識して使ってきませんでした。いきなり、用件を言ってしまっていた気がします。こういうところに、話し方の苦手意識の原因があるのかも知れないと気付きました。
「枕詞」を使うと、相手も心の準備をして聞くことができるので、とても重要です(139ページ)。

4. 「話す順番」と情報量を調節する

 本書を読んで「枕詞+結論+理由」を意識して話せばいいということが分かりました。ですが、順番は、ケースバイケースでアレンジする必要がある(138ページ)。結論より先に理由を述べたほうがよい場合もありそうです。それから情報量をコンパクトにまとめる(142ページ)というのも大事だと思いました。たしかに、話が長いと何を言いたいのか分からないということがあります。気をつけたいと思いました。


 本書を読んで、最大の気付きは「枕詞」の大切さです。「枕詞」によって、相手が聞く準備をしてくれるからです。これを意識して、人と話をしてみたいと思いました。

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