(アドラー心理学)「過去に縛られるな」:フロイトの「原因」理論との決別
アドラー 著『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』
(ダイヤモンド社、2014年)

本書は、アドラー自身の言葉を心理カウンセラーの小倉広さんが解説したものです。本書はアドラー心理学のエッセンスが凝縮されていると思います。今回はフロイトとアドラーの違いです。
フ ロイトとアドラーはともにオーストリアに生まれました。フロイトは1856年生まれ、アドラーはその14年遅い1870年生まれです。
アドラーが駆け出しの心理学者だった頃、心理学界ではフロイトの理論がとても大きな影響力をもっていました。そのフロイトの理論では、過去に蓄積された性的な力である「リビドー」に人間は突き動かされるという考え方をとっていました。
アドラーは、このフロイトの理論に真っ向から反論しました。アドラーの考えでは、人間は未来の「目的」によって行動を自分で決めている。だから自分の意思で自分を変えることができると提唱しました。
このアドラーの考え方は「自己啓発の父」と彼が呼ばれることの源泉になっていると思います。本書に出ていた次のアドラーの言葉が名言だなと思いました。
人は過去に縛られているわけではない。あなたの描く未来があなたを規定しているのだ。過去の原因は「解説」にはなっても「解決」にはならないだろう。(本書6)
本書を読んで初めて知ったのですが、フロイトが提唱していた原因論(人は過去に蓄積された性的な力によって突き動かされる)は現代心理学の常識では「過去の遺物」なのだそうです。とても勉強になりました。