「マイニュース」で振り返る手帳術

伊藤精哉 著『振り返り手帳術』
(新泉社、2018年)

 スケジュール管理のために手帳を利用していますが、もっといい活用の仕方があれば取り入れていきたいと思っていました。先日、樋口圭哉さんの『目標達成のための手帳術』を読み、中長期的にやってみたいことを手帳に書き込んで毎日見て、声に出して読み上げるという方法を知りました。それに続いて今回は、「振り返り」に着目した手帳術に関する本書を読んでみました。

みんな記者として「マイニュース」を

 本書の著者、伊藤精哉さんは時事通信社の経済記者として活躍され、現在も同社の編集局ニュースセンター整理部長として報道のお仕事をされています。手帳は記者時代から約30年以上にわたって活用してきたそうです。
 本書で述べられる手帳術の特徴は何と言っても「振り返り」に着目している点です。自分に関する出来事を「マイニュース」として振り返る時、手帳が最良のツールとなるというのが伊藤さんの考えです。
 

行動記録を残すツール

 伊藤さんにとって「振り返り」とは、過去の自分を客観的に見つめ、経験を成長につなげるにはどうしたらいいかを考えることです。そのため、スケジュールや予定と書くものとして手帳を使うという考え方とは異なります。むしろ、行動記録が手帳に残っていることが重要で、手帳を見返して「空白の時間」や「悪い習慣」を発見し、修正するために手帳を使います(18ページ)。
 

 伊藤さんは、自分に関する出来事を「マイニュース」として記録することが「振り返り」に有効と考えています(51ページ)。やり方としては、まず、自分の手帳に「マイニュース」を書き込めるスペースを用意します。そして、その日印象に残った3つの出来事を選び、その中から1つを選ぶか、3つの共通点を探し、10~15文字程度の見出しをつけるという手順で「マイニュース」を書いていきます(63ページ)。見出しをつけるというところが、記者として働いてこられた著者、伊藤さんらしいと思いました。

 伊藤さんは

「新聞の見出しには、読者を記事に引き込む役割がありますが、マイニュースの読者は自分だけです。他人の興味を誘う必要はありません。後で見返したときに、その日がどんな日だったかひと目でわかる、つまり、エッセンスを凝縮した簡潔でわかりやすい見出し付けを心掛けるといいでしょう」

と述べています(64ページ)。
 

 手帳に「マイニュース」を1ヶ月程度書き続けると、自分がどんなことをグッドニュースだと感じたのか傾向がつかめて、自分の本心が客観的に確認できたり、自分の意外な一面に気づいたり、という効果があると伊藤さんは述べています(72ページ)。

コヴィー『7つの習慣』からも学ぶ

 本書は、手帳を見返すことで「振り返り」をした後、どのように改善していくのがよいのかについても詳しく解説されています。伊藤さんはコンサルタントのスティーブン・コヴィー氏の著書『7つの習慣』に書かれていた「時間管理のマトリックス」を紹介しています(137ページ)。『7つの習慣』は20年以上前、私も読んだことがあり、思い出すよいきっかけになりました。「時間管理のマトリックス」は重要性の軸と緊急性の軸の2つの軸で4つの領域をつくり。①「緊急・重要」、②「緊急ではないが重要」、③「緊急だが重要でない」、④「緊急でなく重要でもない」という4つでタスクを分類するというものです。時間管理のうえで④は真っ先に取り除くべきタスクです。取り組む価値がありません。①と③が多いと時間に追われる生活になりますが、③はできる限り減らしていくべきでしょう。改善すべきポイントです。そうして作り出した時間を②に振り向けていくことで中長期的な備えや「種まき」ができます。そういう時間管理ができるようになればいいなと思いました。

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