時間管理の4つのステップとは?

山本憲明 著『時間がない…から解放される「超」時間術』
(三笠書房、2021年)

 時間術に関連する本は樺沢紫苑さんの『神・時間術』、和田秀樹さんの『人生に差がつく時間の作り方・活かし方』、若杉アキラさんの『捨てる時間術』、ayaさんの『「夢を手に入れる」人がやっている時間術』を読んできました。今回は税理士、山本憲明さんの『時間がない…から解放される「超」時間術』を読んでみました。

 本書の著者、山本憲明さんは税理士事務所を開業していますが、他にも中小企業診断士と気象予報士の資格も取得しています。経営者に対して、少人数で効率的な経営を行なうコツをアドバイスし、企業のお金、時間、人間関係のバランスを良くする方向で経営者をサポートすることを心がけているそうです。

Googleカレンダーを使って現状把握も

 本書を読んで分かったことの1つは、まずは自分の時間の使い方を記録して現状把握することが時間管理の基本だということです(37ページ)。和田秀樹さんの『人生に差がつく時間の作り方・活かし方』でも「時間の家計簿」に記録しようという提案がありましたが、本書でも1週間の自分の使い方を記録することの重要性が説かれていました。記録する媒体としてはノートやExcelの他にGoogleカレンダーがあげられている(39ページ)のがユニークだと思いました。Googleカレンダーは予定やTo Doリストを書き込む印象をもっていましたが、記録をとるという使い方もあることを初めて知りました。

シンプルな4つのステップ

 山本さんが提案する時間管理法はシンプルに4つのステップに整理されています(61ページ)。それは、

①「睡眠時間」を決める
②「睡眠を取る時間」を決める
③「毎日やること」と「それをやる時間帯」を決める
④空いている「管理する時間」にTo Doを当てはめる

というものです。睡眠の重要性は樺沢紫苑さんの『神・時間術』や和田秀樹さんの『人生に差がつく時間の作り方・活かし方』でも強調されています。充実した1日を過ごすためには、もはや常識に属することなのかもしれないと思いました。山本さんの本書の場合、この睡眠の時間と毎日やることを1日のスケジュールからあらかじめ控除(差し引き)することを軸に時間管理を考えていくところが面白いと思いました。

「時間食い虫」には対策が必要

 そのうえで、放っておくと増えていく「時間食い虫」をすぐに退治して、使える時間を増やすことが重要だと山本さんは言います(75ページ)。テレビをだらだら見ることや、目的なくインターネットやSNSを見ることは、気持ちを紛らわせる際には大切かもしれませんが、この時間が膨れ上がってしまうのは避けるべきことです。この点はネット社会に生きる現代人には共通の課題となってきています。

独学術にも通じる

 山本さんは、自分の人生の残り時間を把握し、自分の望む未来を紙に書き出し、数年単位で「何をやっていくか?」を考え実行していくことを提案しています(182ページ)。このあたりは以前読んだ本山勝寛さんの『最強の独学術』に書かれていた「人生50年計画」の考え方にとても近いと思いました。独学でも時間管理は基本になりますし、中長期的な視野で何に取り組むのがよいのかを考え実行していくことが大事だということが分かりました。

朝寝坊のペナルティを決めてから寝る

 最後に、山本さんの提案でとても興味深かったのは、朝起きるのが苦手な人向けに「明日、時間通りに起きられなかったら、1週間禁酒する!」などのペナルティを自分で決めてから寝るというものがありました(111ページ)。禁酒以外のペナルティとして、大好きなスイーツを1週間禁止するとか、いろいろ応用できそうだと思いました。あなたはどんなペナルティを自分に課しますか?


 本書を読んで、睡眠時間の確保や時間の使い方の現状把握、To Doの洗い出し、テレビやネット利用時間の管理・制限などが他の時間術の本でもだいたい共通に提案されているということが分かってきました。これらが時間術の王道だということがはっきりしてきましたので、自分の生活に取り入れて実行していきたいと思いました。

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