情報の洪水には「アンテナを立てる」ことで対処する!
樺沢紫苑 著『学び効率が最大化する インプット大全』
(サンクチュアリ出版、2019年)
以前から読書が好きでいろいろな本を読んできましたが、何をどのように読むべきなのかということについては常に手探りの状態でした。じっくりと内容を精読して年間30冊ぐらい読むというのがコロナ禍に入った2020年からの私の読書スタイルですが、これでよいのかどうか。その指針を求めて本書を読んでみました。
本書の著者、樺沢紫苑さんは精神科医で、作家としても活躍されています。これまでに私は樺沢さんの本は『精神科医が見つけた3つの幸福』、『精神科医が教える毎日を楽しめる人の考え方』を読みました。どちらもとても勉強になる本でした。
自分にとって必要な情報に集中する
インターネットの発達で、今や「情報爆発時代」を迎えています(4ページ)。こんな時代に重要になるのは、いかに必要な情報をインプットするのか、そして「本当に必要な情報」以外は捨てることだと樺沢さんは述べています(23ページ)。そして、自分に必要な情報を選んで、集中的に時間をかけて学ぶために、自分なりの「アンテナを立てる」ことが必要だと指摘されています(23ページ)。これは重要だと感じました。ただ何となくテレビやネットのニュースなどで情報に接しても、自分の中を素通りしてしまい、覚えていることはほんのわずかで、内容も深くないと感じるからです。
インプットの目標を自問する
樺沢さんは、「アンテナを立てる」ための具体的な方法として、「なんのためにするのか」を10秒間考えることを推奨しています(29ページ)。インプットの目標があいまいな状態では、記憶に定着せず、学びが深まらないので、何をインプットするのかを「方向性」「ゴール」「期限」まで明確にするというのが、「アンテナを立てる」ための具体的な方法です。たとえば、英語を勉強する場合でも「将来役に立つかもしれないから」ではアンテナの立ち方があいまいです。「ワーキング・ホリデーでオーストラリアに行く」という方向性と「TOEIC 450点」というゴール、「2021年4月まで」という期限を明確にするとアンテナの立ち方が強くなって、そのために必要な情報を自分で集めるように動くことができるようになるということです。
「マンダラチャート」の書き方
この「アンテナを立てる」ことをもっと多方面にわたって行うために紹介されているのが「マンダラチャート」です。「マンダラチャート」はアメリカ大リーグで活躍する大谷翔平選手が高校生のときに書いた「8球団からドラフト1位指名を受ける」という目標を実現するために書いたことでも有名で、ネットにその画像も出ています。
本書には、「マンダラチャート」の書き方が具体的に解説されていて、とても参考になりました。まず、Wordなどで9マス×9マスの表を作り、中央のマスに「自分がほしい情報」と書きます。次に、その周りの8マスに、自分がほしい情報や学びたいことを記入します。そして、その8つをそれぞれ転記するのですが、転記する8つの場所は、横の並びを「行」、縦の並びを「列」とすると、2行目の左から2列目、2行目の左から5列目、2行目の左から8列目、5行目の左から2列目、5行目の左から8列目、8行目の左から2列目、8行目の左から5列目、8行目の左から8列目です。そして、この転記した言葉に関連するキーワードを8つ記入していくと(81-9=)72個のキーワードが記入されることになります。この72個のキーワードは自分の興味・関心のあることです。樺沢さんは、この「マンダラチャート」をつくることは「脳内情報図書館」を構築することだと述べています(248ページ)。この「マンダラチャート」が「情報爆発時代」にはとても重要になるということが本書を読んで最大の気付きでした。
ネットと読書を組み合わせる
その他にも、読書量は月に3冊ぐらいでよいが、アウトプットと組み合わせるとよいということ(46ページ)や、1つの本や講演から、学びたい内容を3つに絞り込むことで「注意のアンテナ」が立ち学び効率が最大化される(252ページ)ということも参考になりました。
自分の「アンテナを立てる」ために「マンダラチャート」を作成し、時々、見直していきたいと思います。これは自分の興味・関心の変化を確かめるということにもなるので、とても楽しそうです。
ネットの情報は玉石(ぎょくせき)混交(こんこう)なので、ネットと読書を組み合わせることで、精度の高い情報を集め、より深い知識をインプットしていくようにしたいと思います。そのための具体的な方法が本書には書かれていますので、是非おススメします。